オレ節生活

気の向くまま、思いつくまま

吉例顔見世大歌舞伎・夜の部(2007.11.24)

今月はバタバタしてましたので、やっと。やっと夜の部観劇です(涙)。←や、泣くこたぁないか。
噂?には聴いていたけど、良かったよ。染丈活躍場以外のとこでも結構キタかな。楽しかった♪

『宮島のだんまり』
個人的に、ちょっと気もそぞろで席についてしまったので、あれ?一幕目って演目なんだっけ??と頭の中が高速回転しました。波が描かれた浅葱幕と巻物を持った人がバタバタと花道から登場、で、ああ『だんまり』だったっけ!と。ま、何にも考えないで「見る楽しみ」だけのもの。しかし福助さんの袈裟太郎、カッチョ良かったーー!!うわー、この人ってやっぱり男の人なんだねぇ(笑)!ハンサムぅぅーー!男らしく飛んでいくのかと思ったら、途中ウフッって女形なったりする(これがまた可愛らしい♪でもカッチョ良い!不思議、不思議♪)変わり六方も面白かった。福助さん萌ぇぇ〜の一幕ですね。


仮名手本忠臣蔵・九段目 山科閑居』
戸無瀬の真っ赤な着物に金茶色(っていうのかな、アレ)の打ち掛け、小浪の白無垢、お石の銀鼠(っていうのかな、アレ)の着物/のち黒紋付き。ひっそりとした雪景色の中に映える三者三様の出で立ち。いやぁー、まずは「色彩美」!ですなぁ。この美しさだけでズンとくる。さすが名作。
今年2月公演には参上しなかったので(と言っても九段目はやらなかった?)、通しでは昨年9月に文楽で観たのみ。色々印象が違って興味深かった。戸無瀬@芝翫さん、もう小浪の想いを遂げてやろうという気持ちが溢れんばかり。きっと、継母だから余計にそうなんだろうな。実の娘なら「えー加減にしなさい!お父をご覧!」とも言えるかもしれないよな〜(え、言いませんか…)。そんな戸無瀬の必死さ、健気さを愛おしく感じてしまった私でした。ここ、文楽との違いポイント1。死を決意した後に「添わせてやろう」とお石が声をかけた時の嬉しそうな様子。母ちゃん、カワイイやん!
小浪@菊ちゃん、もーー可憐ですねぇぇ!力弥が好きで好きでたまんない、っちゅーのが滲み出てました。武家の娘でしょー、ちょっとその気持ちを抑えなさいよーー、と思わなくもないんですけどね。可愛いから許す(笑)。母の手に掛かって死を、の時の血の気が引いたような顔つきに、凄惨な美しさを感じてしまった。
その菊ちゃんと力弥@染丈のツーショット。どれほど渇望していたか!でもほんのちょっとなのよねー。実は、文楽では力弥・小浪の手を引いて襖の向こうに消えていく、の場面があったので(キャッ)、そこ、期待してたんだけど……無いんですね(涙)。ヒジョーにざんね〜ん。でも恥ずかしそうに互いに視線を合わせたりして、このぉ!と思いながら微笑ましく。観劇一緒した友によると、興行前半では染力弥、小浪に対してちょっとどうなの?って感じの淡白さだったらしいけど、やはり前楽だけあったのか、恥ずかしながらラブラブ、に見えました。でも染丈って嫁貰ってもあまり嬉しそうに見えなかったりするのよね。文七元結とかでも思ったなぁ。兄貴や親方筋にはラブラブなのに(爆!)。あ、変な事口走ってる…?(笑)。それにしても若いっす、染丈。前髪立ちの姿が全然違和感ないとは!昼の部『吃又』修理之助@錦之助さんでも思ったけど、(そー言えば取り次ぎに出る大星家の下女・りん@芝喜松さんも妙に若く見えたなぁ。可愛らしかった♪)下に恐ろしき歌舞伎役者ども!!菊&染カップル、これからもたくさん共演して欲しいなぁ。期待したいなぁ。
前後したが、お石@魁春さんがまた良い。文楽の時は何を無体なことを、とかも思ったが激しいことを言っていても何故か冷たくない。由良之助いよいよ、という時にキュッと握り合う手がまた良い。一瞬のことですが夫婦の情愛を感じました。
加古川本蔵。文楽の印象との違いを一番強く感じたのは幸四郎さんの本蔵。文楽では、述懐があってもホントになんかちょっと嫌なヤツかも、という感じが拭い去れませんでしたが、幸四郎さんには「父親の情」を感じました。そんな風に本蔵を捉えてる自分にも驚き。継母と言えども母・戸無瀬、そして父・本蔵に愛され慈しまれた小浪@菊ちゃん、幸せ者だねぇ。幸四郎さんと芝翫さんの娘が菊ちゃん、吉右衛門さんと魁春さんの息子が染丈。うーん、なんかイイ。それぞれの家庭の様子が垣間見れるようでした。
って見方も変かな……?

『土蜘』
これまた顔見世らしい豪華な出演陣。
頼光@富十郎さんの太刀持ちで鷹之資くん、頑張ってましたね。客席も同級生らしきお子ちゃま達が賑やかで。が、変な大向こうが掛かって興ざめ。富十郎さんもやりにくいだろうな〜。楽しさ台無しなので止めていただきたかった。
胡蝶@菊ちゃん、いいですね〜。何しろ最近、踊りの虜なので(笑)、凝視凝視。間狂言にて仁左様、梅玉さん、東蔵さん、芝雀さん登場。夜の部はこれきりの出演。この勿体なさが顔見世か。石神を装う小姓@玉太郎くん、めちゃくちゃカワイイ♪♪巫子@芝雀さんじゃないけど、背負って帰りたかった。お祖父ちゃんの東蔵さん付きで(何故や!…や、なんか福々しいんで♪)。
菊五郎父ちゃん、素敵ですなぁ。でも思ってたよりは吸い寄せられなかったけど…何でかな?ま、踊ってると視点がズームアップします。息子の場合は引き視点なんですけど。え、十分吸い寄せられてますか?あ、そーですか?(笑)。土蜘の精の隈取り、縫い目のようにも見えて...「ナイトメアー・ビフォア・クリスマス」のサリーをちょと彷彿。『土蜘』観て、ティム・バートンに想い馳せるか!(笑)。いいんですけどね、ハイ。やっぱり異形のものって好きですね。蜘蛛の糸の撒き散らし、ワクワクします。そして処理する後見さんに拍手!

『三人三吉巴白浪・大川端庚申塚の場』
通しで観たのは6月のコクーンが初めて。それまで大川端の場は幾度か観てたと思いましたが……ひゃー!面白いと思ったのは初めて!!やっぱり贔屓の役者が出ると違うんでしょか?(ニヤリ)。一緒した友も言ってましたが、この若手3人の通しってのも是非観てみたい。もちろん、三人三吉に感じる人間的な歪み、退廃的・背徳的な面白さは薄れるだろうが、ストレートでスレてない分、違う面白みが出るんじゃないかな。うーん、観たい(笑)。頼むよ松竹さん!
まずお嬢吉三@孝太郎さんがいい!今月、孝太郎ラブ♪月間となりましたね。以前、珍獣とか口走ってすみませんでした.....(しつこい。)男に切り替わる部分がどーしても想像出来なかったけれども、本当に極々ストレートでした。非常に中性的で。孝太郎さんからはアブノーマルな匂いがしないのに、何故か女装という設定がしっくり。そしてお坊吉三@染丈!世間知らずなお坊ちゃま風情がほろ酔いで登場。これで一応盗人ですから。少しお痩せになってましたが、逆に細身の出で立ちにクラッと来た(笑)。グダグダとお嬢に管を巻くセリフも何か心地良い。はっきり言って、ちょっとぉ〜色っぽいよぉ〜とクラクラしてたので、あんまりよく覚えてないんですけどね(爆!)アホやー、アホファンやーー(笑)。そこへ和尚吉三@松緑くん。か、顔が丸い!あの髪型のせいで横から見ても丸いんです。まるでボールです(笑)。いや、決して嫌いでも悪くもないんですけど...丸い(しつこい)。これまた非常にストレートで明るい和尚。兄貴分としてというより、その明るさゆえにお嬢とお坊の間に入っても納得させてしまうように思えました。うーん、通しで演ったらどんな感じだろ〜楽しそ〜。是非、お願いしたい松竹さん!
夜鷹おとせ@宗之助くんもステキだった。川への落ちっぷりが思い切り良くて!うさぎのように跳ねてましたよ!(それ、"落ちて"るんじゃないんじゃ…?という野暮は言いっこなし♪)後で筋書き見て気付く。駕籠かきで錦次くん出てたのね。気付かなかった。見逃してしまった、残念。


という訳で我慢(?)した甲斐のあった楽しい顔見世夜の部でした♪