オレ節生活

気の向くまま、思いつくまま

『四月大歌舞伎・二代目中村錦之助襲名披露』夜の部(2007.4.15)

昨日の昼の部に引き続いて、二代目錦之助襲名披露・夜の部観劇してきました。サササッと感想上げようかと思っていたんですが、力尽きたのでまた後日。
それにしても幕間が短かった…(汗)。昨日貰い忘れた冊子"歌舞伎座掌本"読んで、今日こそは!な、きんつばと、悩んで保留してた手拭いを購入したら終わってしまいました。最後の10分幕間には売店閉まってるし。因みにメデタイ焼きは食事休憩の時には売り切れてました。....(何の報告?)


『実盛物語』
この演目を観るのは確か3回目だと思うんだけど…。最初は海老蔵襲名前夜(?)の新之助くんで(これはよく覚えてる(笑)←なぜ笑う?)、2回目が……思い出せない。もしかしたら、友人の話を聞いて行った気になってたのか?(オイオイ!)でも仁左様で一度観たんじゃないかな〜?違うかな。とにかく仁左様実盛は、危なげない、手に入った感じで、大らかな気持ちで観賞しました。考えれば結構キツい話なんだけどねぇ。ちょっと荒唐無稽だし。
何しろ仁左様の義太夫ノリがっっ、いぃーーんだわっ!素晴らしい。少し前まで義太夫の"ノリ"("ノリ地"というのが正解?)なんて言われても、分かったような分かんないような、どっちつかずな感じがしたもんだが、うーむ、私もいよいよ分かって来たのかぁー?!←ちとアヤシイ……(笑)。
それから秀逸!と思ったのが、亡骸として運ばれてくる小万@秀太郎さん!ピクリともせず、実に美しい形で横たわってるし、そして御旗の功徳で腕を繋げたら息を吹き返す(すげー展開じゃ)時の、また義太夫ノリがっ!素晴らしい。恐るべし、松嶋屋兄弟!!千之助くんが楽しそうに、元気よく太郎吉を演じていて、またその相手をする仁左様が嬉しそうだ。(でも芸には厳しいお祖父ちゃんだろうなぁ…(汗)。)彌十郎さんの瀬尾十郎も、もはや手の内か?とことんヤな奴じゃない部分に、持ち味が生かされてたんじゃないかな。(ん?何か偉そう?私。)しかし仁左様と彌十郎さんコンビって迫力やなぁ!こんな2人に検分されたくないワ(笑)。葵御前の魁春さんもさすがの気品。ハズレのない一品、といったところでしょうかね。

『襲名披露口上』
揃いも揃った、幹部役者から萬屋一門まで、ずずずぃーーっと23名様。いやぁ圧巻。前日の昼の部で、富十郎さんが膝を傷めて正座が出来ないと言っていたけど、口上の席では何が秘技があるんでしょうかね?ちゃんと正座しているように見えました。まず師匠筋の富十郎さんからご挨拶。もっと長くなるかと思ったら意外とスッキリ(笑)。雀右衛門さんが短いながらもスラッと挨拶されててホッ。でも以前より頬が痩けているようにもお見受けしたので少々心配……。先代の思い出から、早くにお父様(先代の時蔵さん)を亡くされて苦労されたこと、癒し系・新錦之助さんは実は腕白坊主だったこと、同胞からの「とてもここでは言えない(笑)」意味深なエール、先輩方の励まし、それぞれの役者さんの一面と意外な事実、温かくちょぴっと感動的な口上が楽しかったですねぇ。何故か、獅童くんの時にざわめきに似た感嘆みたいなのが起こったのがちょっと……。勘三郎さんは顔を上げただけで笑いが起こり……うーん、疑問点2つ。最後の、富十郎さんによる「隅から隅まで、ずずずいーっと」の声が素敵でした♪

角力場』
去年の六月大歌舞伎で高麗屋父子が濡髪長五郎・放駒長吉/与五郎をそれぞれ務めたのが記憶に新しい。特に染丈の放駒はそれはそれは可愛らしく…(贔屓目爆裂(笑)!)きっと比べちゃうよ、ごめんね新錦之助さん!と一応自覚しつつ観たわけですが−。
うみゅみゅ〜。正直なところ、なんだか間延びしていて、ワクワク出来ず....楽しめませんでしたわー、残念。つっころばし・与五郎は難しいだろうな、とは思ってました。でも以前、務められているのね?@2003年1月国立劇場・通し狂言『双蝶々曲輪日記』にて(違うの?)。放駒は、新錦之助さんのおっとりとした可愛らしさ(と言ってはおこがましい(笑)?)と、凛々しさ・時折感じる大きさが、魅力的に出るんじゃないかと期待したんですが……若々しさが感じられない。元気がない!放駒長吉って、若さゆえの愚直さ、真っ直ぐさゆえの勢いが魅力的なのでは、と思うのですが....。それを感じられないなんて。受け止める濡髪@富十郎さんも、ゆったりと大きく見せてはいるけど、発するパワーが.....。それにゆったりし過ぎてテンポが......緩慢?濡髪と放駒の丁丁発止(とまでは言わないか)で気持ちが高揚しないのよねー。て、私、かなり辛口?
しかしまぁ、新錦之助さんも富十郎さんもお疲れなんだろうなー。口上の席で勘三郎さんも襲名披露の大変さに言及してたけど、その重圧たるや凡人には思い及ばないほどかと。何せ、銀幕の大スター・萬屋錦之介の前名だもんな!なーんて、言ったらまたプレッシャーかけることになるのかしらん?この後、興行後半、盛り返してくれますよう!
不満ついでに(笑)。口上で「共演できて光栄」と挨拶してた獅童くんが三原有右衛門役で登場。やっぱ……ダメでしたねぇ(笑)。確かこの侍たちってちょっとヤバい人等で、その為に後々、濡髪が殺人を犯すことになるのよね?そんなニュアンスも全然感じなかった。平岡郷左衛門@彌十郎さんもいい人っぽく見えるし。ちょっとヤな奴らじゃなきゃ、与五郎ガンバレ!って気持ちにならないよ〜。
吾妻@福助さんは、グゥゥーーッッ(笑)!良いわ良いわぁ〜〜こんな吾妻を観たかったのよ〜(喜)。後ろで取りなす仲居の歌江さん、芝喜松さん、京蔵さんがまた良いねぇ。満足な一場面でした。

『魚屋宗五郎』
この演目を観るのも3度目。(ちなみに『角力場』も3回目だったが、一番最初は三越歌舞伎だったから……それが何か(笑)?)
1度目、海老くん襲名披露興行で観た三津五郎さん’ズ宗五郎の印象が鮮やか。初めて3階席やや後方に座り、引き込まれるって席の遠近(笑・善し悪しと言うべき?)関係ないんだ〜と実感したんだった。生真面目そうな三津五郎さんがまた、酒で豹変するってのが効果的(?)だったねぇ。
2度目は世話物に積極的時期の幸四郎さん。合わない〜、想像できない〜、などとの声を覆えす、魅力的な宗五郎でしたよね。特に長い足を余すところなく乱した着衣が……アワアワアワ、何を口走っとる(笑)!
そんなお二人からすると、いやぁもうお手のものでしょう、キュキュッとハマってくれるでしょう、全然違和感ないもん!と思われた勘三郎さん。ただね、イメージに合いすぎて、前に観たお二方の、役柄との落差がある意味楽しかった(失礼な!)点が、どーなんでしょ?マイナスなのかプラスなのか、とも思ってました。えーと、前置きがずるずる長くなってるというのは、そういう訳でして(汗)。いやー、この宗五郎はいいんだか悪いんだか。敢えて言うなら「良かったよぉ!もう。さすが勘三郎さん!」という気持ちには達しなかった宗五郎でしたね。所々、特に殿様の館の玄関先で「アッシも笑りゃぁコイツも笑い、オヤジも笑って暮らしやした」には、ジーンとしちゃうんだけどね。でもこれ、台詞への条件反射・パブロフの犬(笑)状態なのかな。お酒を控えてるっつったって、ここ2,3日の事じゃないないの?なーんて失礼な事を考えてたりしましたが……当たらずとも遠からず?素面と酔態のメリハリがあまり感じられず。いや、お酒を飲んでいく場面には笑ったんだけどね。前幕と同様、これまた残念な感想になってしまった。女房・おはま@時蔵さんはいい感じ!おかみさん役、いいな、いいなぁぁぁ!!昨年12月の「権十と助十」の時も良かったし。はすっぱにならず、チャキチャキしてるところが小気味好い。三吉@勘太郎くんは、任しとき!って感じだけど、今回はちょっと一人騒々しすぎたかな。うーん、皆の波長が合ってなかったのかもしれないけど。素敵だったのは家老・浦戸十左衛門@我當さんと、お殿様・磯部主計之助@新錦之助さん。えー、錦之助さん、お殿様役は素敵じゃない〜、どうしたの(笑)?と。←失礼な!!我當さんは、この家老ならお殿様安泰、と思える安心感。しっかり人の心は分かっておりますさ。ニンな新・錦之助さんを最後に観られたから良かったかな。

全体的に批判的な感想になってしまった四月・二代目錦之助襲名興行。でも、3ヶ月ぶりに歌舞伎座に赴いて、やっぱ歌舞伎、面白いよな〜と思ったり、背もたれにもたれて大様な気持ちで観賞するって心地良さに始めて気付いたりして、楽しかったことに変わりない。それに歌舞伎座という劇場の特異性を改めて感じたり。華やいだ気持ち・"ハレ"ってこういうことか?とか。きんつば、美味しかった!また食べたい〜〜結局は食い気か!(笑)。