オレ節生活

気の向くまま、思いつくまま

『四月大歌舞伎・二代目中村錦之助襲名披露』 昼の部(2007.4.14)

書くときは一気書き(笑)。
いやさ、久々。2月、「朧」大阪・大千穐楽ぶりの観劇記でございます。前記事の猫語(?)が名残惜しいですが(やっぱ私は猫ひろし2号〜♪)、フツーにいきますですよ、フツーに(笑)。錦之助襲名のお目出たい興行ですし。

初代錦之助萬屋錦之介ファン、時代劇好きな友の観劇日合わせて、某サイトから譲って貰った今日のチケット(3階A席)。偶然にも染友観劇とも重なり、幕間ともどもアッという間の一日でした。いやー2月3月行ってなかったから、久しぶりの歌舞伎座に心も華やぐ。うーん、こーゆー気分を"ハレ"というのかも知れないなー、と改めて。間を置くのも悪くないのかも。さてさて、興行の方です....

『當年祝春駒』
ご存知、「寿曽我対面」の簡略化・舞踊仕立ての演目、といったところでしょうか。これがなくてはお正月が来た気分がしない、といわれるほほどのお目出度い「曽我対面」。襲名公演には付き物?
というわけで、二代目錦之助襲名の第一幕目として、大変よろしいのではないでしょうか。不安げな曽我五郎@獅童くんではあるけれど。(←あっ、ヒドイ(笑)?)
いやぁ、足元が覚束なくてですね、獅童くん。私が気にしすぎなのかと思ったら、友もそう言ってましたぞ。終始、これでいいの?これであってる?といった感じが拭えない。勘太郎くん@十郎の、吸い付くような、この位置で間違いない、という揺るぎなさとつい比べてしまうのであった。ある意味、目が離せない演目でしたか(笑)。獅童くんの名誉の為に言っておくと、頑張ってはいたと思います。勘太郎くんのしっかとした安定感が兄ちゃん/十郎らしさを醸し出していました。
そう言えば、2005年7月松竹座の勘三郎さん襲名興行でも勘太郎くんが曽我十郎でしたな。もち五郎は染丈!……うーん、この違いを感じるのは贔屓目か、はたまた真実か....。種太郎くんが丁寧に茶坊主珍斎を踊っていました。

『頼朝の死』
うーん、真山青果です。男泣きです。苦しい胸の内を吐露します。歌昇さん、熱演です。長いです。
正直、もーえぇやん、言っておやりよ、などと思ったりしてました。時々グッと来たり、ウルッときそうになるのですが、私にとっては"語りすぎ"感が残ります。もう一歩手前(いや、2,3歩かも(汗)。)でとどめておいていただけると、その後、自分なりの物思いに耽ることができるのになー、などと。でも好きな方は好きでしょう、こういうの。
福助さんがカワイイ・カワイイ演技を見せてくれます(笑)。泣きじゃくり、意を決したところでも、好いた男に告られた途端、バラ色オーラを発します。凄いなー、福助さん。梅玉さんが、「元禄忠臣蔵」の綱豊卿を彷彿とさせる爽やかさと苦悩を見せるけど、今回は報われない…カワイソウ・カワイソウ。芝翫さん、いかにも北条政子だよ!←誉めております(笑)。長い台詞の応酬の中で「家は末代、人は一世じゃ!」の短さが利いてます。素敵。もう少し貫禄があるかなーと思ってましたが。

『男女道成寺
仁左様がっ……デカイオナゴで登場です!!何か怖いです(笑)。狂言師とバレて、首から下はオナゴ、頭は男、の出で立ちが可笑しかったッス。仁左様、ホントーにこういうの、楽しそうだよなぁ〜〜関西人の血がそうさせるのか(笑)??怖いオナゴ@桜子では、勘三郎さん@花子との対照がチト面白かった。仁左様1歩のところ勘三郎さん2歩、とか、細長と中太(イメージ)とか、お扇子の牡丹の大小とか、170°に右斜め45°、とか(何やそれ!)。狂言師になって再登場の仁左様はスッキリとしたいい男♪でございます。
で、勘三郎さんの踊りはやっぱりいいな〜と。娘だな〜、と。1月正月公演の「春興鏡獅子」ほどの良さは感じられなかったのが残念ですが。もしかして「道成寺」は一人で踊った方が勘三郎さんにはいいのかもなー、と思ったり。仁左様は眼福♪♪ですけど。「恋の手習い」では途中から相手役(?)に仁左様登場。うーん、見えない相手に踊る方が好きかな。何か違うモノに感じてしまった。や、それはそれで(違うモノで)いいかもたけど。(.....私の文章って「かも」ばっかだな。だってこーゆーのは「好き」かどうかで、「いい」か「悪い」かの問題じゃないもんな〜.....と言い訳がましく(汗)。)所化に猿弥さんが出てたよ!え、誰、あの丸っこいヒトは??!とチラシを確認してしまった(笑)。獅童くんは踊らなかったね。あ、別に期待してた訳ではありませんぞ(笑)。

『菊畑』
いよいよ。いよいよ新・錦之助さんの登場演目です!が、既に満腹感がなきにしもあらず....あららん(汗)。
鬼一法眼@富十郎さんが、杖をつき腰元に手を引かれ、いかにも病に伏している感じで登場。まぁさすがだわ、と思ったら膝を傷めてしまったらしい。劇中口上で、膝をついて座れずに挨拶することを詫びていた。大事にして下さいませね!富様。ご子息のためにも。(話逸れるが、東横線横浜駅のホームに鷹之資くんの写真を使ったポスターがあったのよね。今日気付いた。あれは....歌舞伎座の宣伝??)
劇中口上って面白いわん。憎々しい湛海@歌昇さんが「皆様何をお揃いで?」てな現れたところで急に「ご挨拶を」。終わると、また憎々しい湛海の台詞から。もしかして昼の部、裏・歌昇さん祭り??。富十郎さんの口上はやはり長めでした(笑)。先代の錦之助さんが"歌舞伎役者"として最後に勤めた虎蔵を新・錦之助さんが最初に勤めることへの感慨と、その時に勧めて下さった先代→当代という播磨屋さん関わりへの感謝と、伝統芸能の襲名って人の歴史の重なり合いだなぁ、なんてジーンとしたりして。……でも、その後はにっくき歌昇さんだから(笑)。去年9月の秀山祭では兄上の歌六さんでしたが@湛海、いやらしさは兄上の勝ちでしょうか(笑)。富十郎さん、チト台詞が怪しげで。プロンプトが入ってなかったので自力で繋げていたけど意味通らないよ(笑)…とか。でも富さんだからいーのだ!←すごい理由(笑)。
ハッ、新・錦之助さんのことが置き去りでしたよ!虎蔵(牛若)、おおぉ!少年だわー!化けますなぁ!と思いました。一体、おいくつ??と尋ねたくなりますよ。秀山祭で染丈がやったばかりなので、どーしても被っちゃいますが(夜の部の『角力場』もそうなのよねー@去年6月)、錦之助さんの虎蔵は良いなぁ。確かに染丈は見目麗しかったけど…ちょっと覇気が足らなかったような?気がしますぞ。皆鶴姫@時蔵さんも色っぺ〜♪智恵内@吉右衛門さん、懐深ーーい感じがします。お茶目だし、優しげだし。でも秀山祭で見た幸四郎パパの方が好きかなぁ。幸四郎パパと錦之助さんの鬼三太・牛若主従(あれ、この並びだと従主?(笑)。)が見たい気がしますわ。全体的に、お役がどーとかより、お目出度いムード満載だったようでした。

あれ?何だかチョイと辛口感想になってる?いやいや、そんなことないですよ。楽しかったです。久しぶりに歌舞伎座に赴いて、ウキウキしたし、いい一日でした。しかし歌舞伎観劇ってやっぱり時間がかかるのねー、とも再確認(笑)。