オレ節生活

気の向くまま、思いつくまま

『朧の森に棲む鬼』妄想感想 その3

2月になってしまいました!
昨夜から花粉症対策の抗アレルギー薬を飲み始めました。暖冬だから飛散も早いだろう…(もう飛んでる?)。春が待ち遠しくもあり、気が重くもあり…何とか治らないもんかねぇ?食事療法とかで。あっ、納豆なんて、どう?(笑)
さて、1月中に上げたいなどとのたまいてましたが、いつまで続くんだ?『朧』妄想。さらに続きです。既に芝居の話ではなくなっております(笑)。酔狂な方がいらっしゃればお付き合い下さい(笑)。

ライがキンタを殺さなかったのって本当のところ、どう捉えればいいんだろう?ライぐらいの悪党なら間違いなくキンタを殺してるだろう、それが生きていたということはただの偶然では納得がいかない、だからライ自身が気付かずに手加減していたという展開には肯ける。が、何故手加減したんだろう?やっぱりライは心の底ではキンタを愛しいと思っていたから?哀れだと思った?それもまたある意味納得はいくんだけど.......私の中でかくあるべきライ像はキンタにさえも手加減してくれるな、と望んでいるのよね。血人形で目を潰させ、キンタに絶望と憎しみを植え付けてからなぶって殺した、という極悪ぶりだからこそ「ライ、酷ぇ…」と震えるんだけど、でもキンタは生きている。や!もちろんキンタがあれで死んでしまってたらつまらないし、サダヲくんの見事な座頭殺陣も観れないし、四つ巴の意味もなくなるし、芝居展開としては嬉しいんだけどね。でもどうしても、ライが「急所を外した」ことをどう消化していいか分からないのよね。それはもう、何度観ても喉につかえた魚の骨みたいにずーっと引っかかってる。まぁ、引っかかったままが人間の有り様か、という気がしないでもないけど。何でもキレ〜に飲み込めないのが人生なのか、とも。
そんな、私の中で最大級の「ワル」なライ。例え本当にキンタを斬って捨てていたとしても、あの最期の壮絶さは変わらないと思う。何故あんなに哀しく、生への執着が美しいのだろう?いや、単なる「生」ではないのだろうけど。でもあれこそが人間の、生きとし生けるものの本当の姿なのかも。欲にまみれ、騙し、裏切られ、怒り、あらゆる大罪を犯し責め苦に遭いながらも生に執着する姿、それが生けるもの・人間なのかも。だからそれに揺さぶられ、哀しさを感じるのかもしれない。ライが求めたのは「生命欲」なのかしら?その時々で、得られるだけの楽しみを享受しながら「生きる」こと、ライの目的はそれだったのかな?オボロもライの持つ「生命力」が欲しかったのかもしれないな。大きな悪に膨れあがったライをそのまま糧にし、朧の森はさらに大きくなるつもりだったのかも。でも逆にライに食われちゃったんだよ!オボロはライを飲み込み、ライはオボロを食い尽くし、そしてまた新たな糧を探すのかも知れない。朧の森に気をつけろ!強く激しく、貪欲な人間、そいつが危険です。
と.....そのライをかくも私に妄想させてくれた、染丈、アンタってばなんてぇ素敵なんだろう!!下手すりゃドロドロのベタベタな人物像(ってなんじゃそりゃ)になるところ、美しく、「悪」なのに逆に純粋で、真っ直ぐ澄んでいるようにさえ思える(シキブが「澄んだ目…」というのはある意味肯ける)、ライ。だからね、「市川染五郎」という役者でなければこの切なさは出ません!(出た!贔屓目爆裂!)ま、ドロドロのベタベタな醜悪〜〜な男ってのもいつか観たいような気がしますけどね。それじゃ染ちゃんじゃない?まーそれも一理あり。

妄想、長くなりついでに。5回目観劇時、花道近くの席だったせいか、ヤスマサ@横山さんの姿を初めてちゃんと見た気がした。うわっ、こんな眉してたんだ(笑)!とか。ヤスマサは登場した途端ライに殺されてしまうから(考えれば寂しい役だねぇ、横山さん……)、皆が語る外枠でしかヤスマサを知ることしか出来ないんだけど、割と想像しやすいというか。太平のエイアン国では政治は腐敗し、オオキミはシキブに骨抜きだし、要職に就く者は保身ばかりを気にして、民にもそんな風潮が現れる。勤勉なる者は減り、贅沢な暮らしをしていれば金銀も底を突くというもの。そこで狙ったはオーエ国の大金山。まだ都も整備されていないような小さな国だから数に物言わせてチョイチョイと叩けば、黄金が手に入ると思ってたら、意外と抵抗が強くて苦戦。そのうち戦う意味が分からなくなるヤスマサ。美しく誇り高い、武家の出の妻はそんなヤスマサを安らかに包むことはなく、一度色香に惑わされて関係を持ったシキブとはずるずると情事が続く。しかもオオキミはシキブとの関係を知っているようで、しかし何のおとがめもない。いっそのこと問われればまだ気が楽なのに……「この国は腐った果実だ」。粗野だが青く、瑞々しい国、オーエ。あの国へ逃げよう。もう一度やり直すのだ.....
オオキミ、シキブに毒を呑まされると分かっていたのに、民より愛する女を優先したね?しかも「あの男」が自分の亡き後、王座に就くのは目に見えているのに……この辺が「腐って」いたんだろうなぁ、エイアン国。