オレ節生活

気の向くまま、思いつくまま

松竹座・十月花形歌舞伎(その4)

『通し狂言 染模様恩愛御書〜細川の男敵討』(2006.10.21&10.22)

とうとう月を跨いでしまいました。それなのにまだ一幕目....オホホ!さぁ〜これからが問題の!!(ニヤリ)。10/30の日記「その3」からの続き。
ウホ、いよいよ濡れ場にかかるシーンですぞ〜。
盆が廻るとそこは数馬の部屋。しなっと横座りしてる姿はまさしく乙女。こんなラブリン、初めてですぅ〜(照)!持病の癪が、と仮病をつかって今宵の勤めを辞退(ん?笑)している数馬。こんなことがバレた日にゃぁ…しかしそれより気掛かりなのは、あのお方が本当に忍んで来るのか……。
あら、惚れられて結構余裕なのかと思ったら、数馬も心配なのね。そこへ、スクリーン越し友右衛門のシルエット現る。「数馬殿、数馬殿…!」あっ、来たっ!by数馬。招き入れられた友右衛門(面倒なので袖助名称省略。)、「夢のようで、胸がドキドキいたしまする」と数馬がドギマギしてるうちにまずは先制攻撃(?)だぁ。言ったもん勝ち(笑)?いやいや気持ち伝えとかんとイカンからにぁあ。ちゃんと手をついて、今までの非礼に反し数馬が応えてくれたことへの礼を言う。うーむ、律儀じゃ!年の功(笑)?ストーカー並みに恋に盲目なのに、礼儀正しいなんて!友右衛門、可愛いじゃぁあ〜りませんか(笑)。この辺の匙加減、ホンっト、染丈うまいよねぇ!!ひゃ〜そんなアナタにメロメロよぉ〜!!(←バカ・笑)
ハッ。つい前後不覚に陥りました。失礼(照)。熱き想いを吐露し、これにて思い残すことはないという友右衛門に、「私もお慕い申しておりました…!」とやっと(やっと?)数馬告白!「数馬殿も?!」と驚きの友右衛門。こうなったら言葉は要らぬ〜〜見つめ合い近づき、自然に手が触れ…ハッと恥ずかしげに身を引く数馬。でもキミは結構積極的なのよね〜(後ほど判明・笑)。
ここでの問題(?)はバックに流れるテーマソング。長唄さんによる(恐らく)、"友右衛門&数馬・愛のテーマ"とでも言うべきムード歌謡(笑)には、賛否両論、いやほぼ否定論しか聞こえてきませんが、何故か私にはオッケーなのでした。確かにこそばゆいというか、歯が浮くというか、収まり悪いんですがねぇ(否定やんけ!)。敢えて「よし!」と言ってしまおうかと……天の邪鬼ですから。関係ない?笑い場と思ってるのかも?この濡れ場を、私は。ほ〜なる程ぉ〜。て、感心しとる場合か!
ハイ、ムード歌謡が流れる中、友右衛門、立ち上がって数馬にそっと近寄り肩に手を置き、右・左と覗き込むように見つめ合う。一緒した染友が「宝塚みたい」と言ってましたが、ふーん、こんな感じかぁ。(ヅカ未経験。)またもや数馬が逃げるように、ツト隅の方へ…行ったと思ったら、自ら行灯の灯を吹き消しましたよ!そして暗闇の中、友右衛門の手を取って襖(スクリーン)の向こうへ誘う数馬。
大胆です!さすがダテに殿の寵愛受けてません。やるときゃやる。返って手馴れたりして?…とはゲスの勘ぐりです、ハイ(笑)。そして、一旦引っ込んだ友右衛門が、帯をクルクル〜と解かれつつ現れ消えます。よく悪代官が娘を襲う時にやる「あ〜〜れ〜〜」です。なんて呼ぶんでしょ?(呼び名などないのか?)いやー、数馬、積極的ですなぁ。あながちゲスの勘ぐりじゃないかもね。
友右衛門クルクルが終わるとシルエットロマンスに。濡れ場シルエット、流行りですか(笑)?9月の『魔界転生』でも使われてましたね。あれはオヤジのエロ場だったけど…。そのせいか?『トップランナー』ゲスト・ラブリンの時にチラッと映った時の衝撃(?)より、冷静に凝視。アッという間だし。照れ笑い入りはしますがね。恐らく、想像する自分に照れ笑いなんでしょうなぁ。
って、のんびり濡れ場を語っている場合ではなかった!この様子を、腰元・あざみが盗み見していたのだった!「キィーッ!よりにもよって愛しい方をに寝取られるとはぁー!」会場内のすべての女性が、あざみの心情に頷いたのでは。しかしあざみが地団駄踏むほど、濡れ場が笑い場に…変貌するのは致し方ないか(汗)。あざみ、こーしちゃいらんないっ!と殿様にチクりに走る!
コトを済ませた(笑)二人、友右衛門はヨレヨレと着流しで(袴は脱いだままです。乱れております♪)、数馬はヨイショと袴を引き上げながら(キャッ♪)奥から出てきます。数馬の袴引き上げはヤバいっしょ〜(笑)。こう至っては友右衛門が長上、当然のように(?)上座へ、数馬は下座に位置チェンジ。数馬、ちゃっかり自分には父親の敵があり、敵討ちの本望を持っていることを告白。けれども自分の腕では心許ない…なんて言われちゃぁ、もちろん友右衛門、助勢しますわな。「しからば義兄弟となって」助力を惜しまない約束を。喜ぶ数馬。そりゃあねぇ…『蔦模様血染御書』の原作をチラと聞いたりしたし、数馬、世渡り上手!とも思うワタクシでした。厳しい環境を一人で生き抜くのはしたたかでないとねぇ...世渡りも上手くなるわさ。と、少々夢のない?発言でありました。
義兄弟の誓いは血潮の交わし。互いの腕に刀傷をつけ、傷口を合わせる。そして傷口の血をすすり合うのですがね……ちょっと(かなり?)ドキドキしましたわ(ポ)。先ほどのシルエットロマンスよりも色っぽいです。やっぱり濡れ場は笑いドコロだったのだ!いいではないですか〜このメリハリ。(え、ダメ?)
晴れて義兄弟となった二人、お互い傷口を晒しで巻いあげて止血(これが後でネックになっちゃうのよね〜)、「義兄上」「数馬」とヒシと抱き合う....ところで邪魔者、違った「殿のお召し」とお呼びがかかる。焦る二人!迎えに来た用人を、数馬「ちょっとお待ち下さいませ、お待ち下さいませ」と待たせてアワアワ、取り急ぎ(?)長持ちの中へ友右衛門を隠す。あらー、友右衛門、ちゃんと脱いだ袴と刀を持って入るのねー、なんて思ってると数馬、鍵までかけちゃう。.....なんか、王子様を閉じ込めるお姫様みたいね?もう私のものよ♪とか、暢気な事を言ってる場合ではない!やっと用人を迎え入れた数馬、いかにも病です、な態でよろっと座ってはいたが、そうは問屋が卸さない!すべて知っておるのだ、殿の御前へ引っ立てぃ!と用人たちは無理やり数馬を連れて行く。あぁ、長持ちの中に入ったままの友右衛門はどうなる?!
舞台暗転してる間に、数馬一行(?)は花道へ出て、数馬よろめく。よろめいた隙に連行していた用人たちは、腕にある義兄弟の契りを交わした刀傷(の止血した晒し)を見つけてしまう。ここ、後ほど証拠、と言われるのだけど、1回目観劇の3階席からはよく見えなかったので、いつ気づいたんだろう?と思ってましたが、2回目に納得。やっぱ1階席は色々発見がありますな。
とうとう御前に引き出されてしまった、数馬。あざみも控えております。さぁ、殿のおな〜り〜。出ました、細川越中守@段治郎さん!キリッとした若く聡明そうな殿様です。何やら不義の訴えがあるとか聞いて、心配そうにちょっと年上の奥様、照葉@吉弥さんも登場。いいですな〜落ち着いてます。間違った検分はしなさそうな感じがありますよ。
あざみが差し出す証拠の品という恋の句が書かれた短冊、「や、この手跡は明らかに男。それに近頃見たことがあるような…」と奥方・照葉。そりゃそうです、最近、中間から取り持ってやった袖助の手跡ですもん。あざみ、鼻高々。細川の殿様、怒り心頭!腰元仲間は(あざみと)仲のよかった数馬様をなぜ槍玉に?と不思議がると、あざみ「男ばかりが忠義ではございませぬ、女とて主に仕える忠義は同じ」と尤もらしく答えるが、違ーうだろ!キミのは嫉妬に駆られてるの!
しかし殿も奥方も「天晴れ!」と絶賛。あざみ、なお鼻高々。勝ち誇って、屋敷内を探したのに見つからない袖助を「まだ数馬様の部屋に潜んでおるに違いなし」鋭い…女の嗅覚は騙されませんか?
やぁそこであの長持ちが運び込まれる訳だ。用人たちもわかってるねぇ、人を隠すなら長持ちか?あー、数馬、鍵さえかけておかなければ.....おかなくても見つかったかな?数馬、進退窮まったり。観念して長持ちの鍵を開けると……ババーン!ちゃんと袴をつけた袖助/友右衛門登場〜〜!…あれ?長持ちの中で袴穿いたのね。イリュージョン...カッパーフィールドかっ?!
喜んでちゃイカン。奥方の、「何かの間違いであろう?袖助は知り合いか、親類...縁者であろう?!」という優しい言葉も空しく、互いの腕にある義兄弟契りの証を挙げられては、もはや言い訳は立たず!殿、敵討ちの大望ありと聞き及んで色々気にかけてやったのに主を裏切る行為、もー我慢ならぬ!「えぇい、成敗してくれるわ!!」と刀を手に取って進み出る!
ここから友右衛門と数馬のラブラブ庇い立て攻撃爆裂。勝手に恋情を抱いたのはこの私、斬るなら私を、と友右衛門が言えば、いえいえ私を、と返す数馬。そんな数馬を「お前には敵討ちという大切な本望が」と叱る友右衛門。えぇーと、、、熱々なんですけどねぇ、、、。殿、呆れたか、それとも熱々ぶりに当てられたか?「ではそなたは敵討ちの大望のために数馬と義兄弟に…?」と友右衛門に問えば、殿様を真っ直ぐに見上げて友右衛門「はい」とキッパリ。....うーん、間違ってはいないんですけどねぇ。でもその前に別の契りを交わしちゃってますが....。ま、友右衛門としては、偽らざる気持ちだったのでしょう。(と、私も庇い立て?)
殿、ここでピキーン!と来ちゃいましたねぇぇ!!やー、きっと友右衛門の真っ直ぐな瞳に魅入られちゃったんだわ〜。いきなり「天晴れ!!」と言い放っちゃいます。あーだこーだ自分なりの解釈をして、二人の罪を許すどころか士分に取り立ててやろうという気持ちにチェーンジ!いやぁ、人の心は分からないもんですねぇ。友右衛門、「実は」自分は秋元家に仕える大川友右衛門という武士という素性を明かし、二君に仕えず、その申し出は平にご容赦願いたい、という。そんな事で諦める細川候ではあ〜りません!ますます友右衛門が気に入った殿、秋元家には使いを出し、士分に取り立ててやった暁には数馬に暇を出し、友右衛門に預ける、剣の修行に励んで敵討ちを果たせ、とまぁー、ものすごーく嬉しそうでござんすよ!傍に侍る家老が「いや、細川に大川というのも…」と屁理屈を言えば、「心配には及ばぬ、大川とて元は細川」と返す殿。そこで一句と友右衛門、「谷谷の、流れの恵みせき入れて、上(かみ)は細川、下(しも)は大川」ん!よく出来ました〜〜!!メモってくれてた染友、感謝!教えてもろたので書き入れちゃいました〜!
3階席から観たときは、殿様、ありえん!!とかツッコミ入れてしまいましたが、1階席から観たら、段ちゃん・段治郎さん、メッチャ嬉しそうに台詞言ってて「ほぇ〜、えぇ、もう、アナタ様のお好きなようになさって構いません!」とか思ってしまいました。ちょと段ちゃんにクラクラしてしまった私です。素敵……(ポッ)。
ハイ、ここに、すっかり取り残された女が一人。言わずと知れたあざみちゃん!えぇー、どーしてそーなっちゃうの?!呆気に取られ、次は袂を噛んで、ギィ〜〜ッ!!と悔しがっております〜!えぇい、今に見てろよ?!あざみの執念はまだまだ続くのであった.....。
チョンチョンチョン。やっと一幕目が終わりました〜ホッ。
二幕目に入る前にどーでもよい余談☆……
幕間は1回のみ30分、お食事どころ。1回目夜の部観劇では、お昼が遅かったし、終演後に大阪在住の友と落ち合う約束があったので食事なし。終演7時半っていいね♪夜の街に繰り出すのに十分な時間♪松竹座はちょうど道頓堀にあるし。(但し、夜の街にはお気をつけ下さいまし。)翌日、2回目昼の部では、私の独断と偏見で「キムカツ弁当」を食することに。いやぁ以前来た時に、劇場前で買ったお弁当が美味しくなくて(汗)。今回、おっ、キムカツがある〜と抜かりなくチェック。前に友人が美味しいって言ってたので食べてみたかったのだ。ご飯の上にカツがドーン!と乗っただけのお弁当は、正直驚いたけど、薄い肉を何枚も重ねたカツはジュ〜シィ〜でした。タレが醤油味の甘辛なんだけど、甘すぎずグッド。もし松竹座で食事に悩んだら是非どうぞ♪但し、本店は東京は恵比寿(だったかな?)ですので、大阪名物ではありません。お間違えなく(笑)。
初歌舞伎の友人が借りてたイヤホンガイドで、幕間に流してるというインタビュー聞こうとしたら、もう終わってた…。食い気に走ったせいか!!(涙)
では、いざ、二幕目・「その5」へ!