オレ節生活

気の向くまま、思いつくまま

松竹座・十月花形歌舞伎(その2)

『通し狂言 染模様恩愛御書〜細川の男敵討』(2006.10.21&10.22)

ハイ、10/24の日記からの続きです。「その1」ではまだ序幕(だと思って下さいな)だってのに、余談ばかりが長くなってしまったので、これからはチャキチャキ進めたいと思います。...ホントかよぉ?
えー、運の悪いところに現れて斬られてしまった数馬のお父ちゃん・印南十内@薪車さん、真面目で息子想いの父親役がピッタリ!イメージそのままです。そして、なるほどー、この父にしてあの息子の美貌あり?で納得。男前ぇっ!
祝言を挙げたものの、いまだ床を別ってしっくりしてない図書の新妻・いよ@芝のぶちゃん。病持ちで薄幸なオーラ発散!なんで仲たがいしてるのか、その辺はよく分からないんですが、偽りの忠告で手討ちにされちゃう可哀想さ満載なので、細かいことはいいや、という気にさえなる。2回目・10/22には歌舞伎初体験という大阪在住の友達も一緒に観劇したけど、初め、芝のぶちゃんを見て「なんで女の人が出てるんやろな、と思った」と言ってたで。もう女性にしか見えまへん(笑)!「成駒屋!」と大向こうもかかって何だかジンとしてしまった。
図書@猿弥さん、序幕(だからそう思ってね)では本当に"短慮"なんですねぇ。酒の力・妖刀に魅入られて無実の人間を二人も斬り殺してしまう。特に悪人って訳じゃないのに…。普通の人間がふと殺人を犯すことが怖いことなのかもしれない。でも一番恐ろしいのは、人の心に悪意を流し込む嫉みなのかも。なぁ、同僚四人衆@欣也さん・橋也さん・橋吾さん・信治さん。いい仕事してはりましたな。
さあ!お待っとさんでした!いよいよ「見染めの場」です。図書がいよと十内を斬って「よう斬れるなぁ…」と『籠釣瓶』並みの台詞を言ったところで舞台は暗転。チョボ床(って言うんですよね?)に再び講談師・旭堂南左衛門さんが登場、武州(だったかな?)秋元家に大川友右衛門という武士あること、この発端から10年経ったここは浅草観音、印南十内の息子・数馬は肥後・熊本細川家お小姓に取り立てられ、奥方とともに参詣に来ていることを説明してくれます。
チョン、と舞台が明るくなると、2階建て風セットの上に細川家の腰元・あざみ@春猿さん、ほか腰元4人が階段に美しく並んでます。浅草寺伝法院の杜若花咲く庭を堪能してると、よっ、松嶋屋!上手上部から数馬@ラブリン登場!一気に色めくあざみ(笑)。数馬が元は浅草寺の寺小姓だったのになぞらえて、自分を『八百屋お七』に例えるあざみ。後ほどの伏線だ…。てか、惚れてまっせーと、思い切り売り込んでるんですけど……。「えぇ〜?」と言うとる場合か、数馬!こらっ!去り行くあざみを見つめちゃいかーーん!誤解しよるやろが?!
と、あざみが去ると下手上部に友右衛門@染ちゃん登ーー場!いやん、長かったわ!!(あ、私の感想がね、すんません....)講談師・南左衛門さん、「鼻筋通った風情ある武士…これこそ大川友右衛門!」いやぁん、そんなこと言われて…何だか照れるわー(何でや)。お庭の見事さに気をとられて、お互いまだ気づいておりません。数馬は杜若を1本失敬してたりしまっせ。あのね、二人が階段を降りる第一歩のタイミングが観劇した2回とも同時でビックリしたんだよね!お互い、既に一体なんだわ…(ポッ)。って、何、今さら興奮してるんでしょ(笑)。やがて二人は舞台中央に進んできて、トン、とぶつかる。数馬はさっき失敬した杜若を落とし、友右衛門はそれを膝を折って拾い上げ……そのまま下から数馬を見上げて、、、見つめ合う二人。ひぇーーー!!!!運命の瞬間!!!ビビッときましたね!ビビッと!(古っ...)ハッと、恥ずかしげに身を返す数馬。しかしこのお侍が気になりチラチラ見返りつつ花道の方へ。対する友右衛門!雷に打たれたかのように、数馬から目が離せなぁぁーい!!キンコンカンコン♪胸の中で鐘(ウェディングベルね♪)が鳴り響いてるに違いない!瞳はキラキラ☆☆口ポカンしてまっせ、兄さん!!アハハ!!いや、笑いところじゃないわぃ。あまりに衝撃的な一目惚れ(笑)。講談師・南左衛門さん「振り返り振り返り、互いに見交わす顔と顔…」、ひと目あったその日から?恋の花咲くこともある?と、どこかで聞いたフレーズが頭に(またもや古っ...)。かーなーり、講談師さんに煽られてます。数馬@ラブリンが花道七三まで来たとこで、染&愛「はて、艶やかなる姿じゃなぁ」で、暗転。再び講談師さん、「立てば芍薬座れば牡丹、歩く姿は百合の花…」オイオイっ!何ですか、その気恥ずかしくなる形容はっ(笑)?ま〜それくらい数馬は美しいかった、と。照れ笑いしつつすっかり術中にハマってます。
さて、お次は門前の茶店での場。先ほど暗転で消えた花道七三位置に、お着替え済んだ数馬がスポット浴びて登場。今回、ラブリンはヒロイン役(笑?)のせいか衣装替えがたくさんあって楽しめます。友右衛門との出会いから数日…なかなか忘れ得ぬ心中を独白する数馬。と、舞台が明るくなり、そこはもう浅草寺仁王門。そこでお母ちゃん・お民@吉弥さんにばったり出くわす。ん、やっぱり数馬は父親似(笑)!いやいや、吉弥さんは危なげない感じで母親を好演されてたと。ちょーっと老けて見えるのは、きっと苦労したからなのでしょう!事実無根と言え、夫が不義ゆえ殺されたとなれば…ねぇ。「私が死んだら天涯孤独」の身の上になるが、キッチリ父の敵を討つよう諭して母・民は去り、数馬も本堂に向かう。
さぁそこへ!日参する数馬を目当てに現る友右衛門!今日はいささか所用あって詣でるのが遅くなり、友右衛門、焦っております(笑)。茶店の娘(エッ?)・おせん@紫若さんに数馬のことを尋ねると本堂に向かったと言う。胸撫で下ろし、数馬が細川家のお小姓だという情報も得つつ、茶店で待つ友右衛門。そうそう、行き違いになったら困るもんね(笑)。実は昨日、二人の小者同士(訂正!中間同士でした)が些細ないさかいを起こしてたので、今日は話しかけるチャンスがあるのだ!懐から熱い想いを認めた(恐らく…)艶書、つまりラぁブレタぁぁ〜を取り出し、頷く友右衛門。何をシミュレーションしているのだぁぁぁ(笑)!
そうこうするうちに戻って来た数馬へ、昨日の無礼を詫び、ついてはゆっくりとお話しでも!とつい力が入り鼻息荒げつつ話しかける友右衛門(笑)、その勢いに恐れを成したか?いやいや、急なアプローチへの戸惑いと恥ずかしさに因ってか?つれない数馬。それには及びませぬ、と去って行こうとするのを呼び止め友右衛門、「お袖に汚れが…」と袂に艶書を忍ばせる。
ここで初日にはラブリン、「えぇ〜〜?」と素っ頓狂な声を上げたそうだけど、「ほぇ」ぐらいの軽い感じでした。でも袂に文の1つや2つ(?)入れられたら、そりゃ、何となく違和感に気付くでしょう!数馬、去りつつ「あれ?あれ?…アッ!」と袂に入ってるモノに気付く。エッエッ、どうしよう?とオタオタドギマギする数馬が可愛いっす!(←かなり目が曇ってますな(笑)。)しかし問うことも、ましてや振り返ることも出来ぬまま、恥ずかしげにタタタ...と花道去る数馬。その姿を熱い眼差しで見つめる友右衛門(笑)。茶店の娘(エッ?)おせんに不審がられて友右衛門、「さて参ろうか」と本堂に向かうが、やっぱり階段の上で立ち止まって数馬の去り行く先を見つめ続ける(笑)。あ〜高い所からだと遠くまで見渡せるからねぇ....って、そーゆー問題かい!?そんな己をやっぱりおせんが不審そうに見てるので、慌てて去る友右衛門。おせん、「どうやらあのお侍はあのお小姓に何やらおかしな様子」。友右衛門〜!バレバレでっせ〜〜!そりゃバレるわな、あんなにハートマーク飛ばしてりゃ。いや、ハートマークと言うより、キラキラ輝く青春の息吹き!と言った方が良さそうな。そんな純粋さを感じる友右衛門の恋です(笑)。おせん、あのお小姓(数馬)が参詣する時は近所の娘たちが浮き足立つくらいだからそんなこともあろうな、と大らかです!さすが、煩悩に魅入られた者どもが、救いを求めて訪れる浅草観世音の門前に茶店を構えるだけある!娘(エッ?)にしてはえらく達観してます。

(ではそろそろ?「その3」へ続く。)