オレ節生活

気の向くまま、思いつくまま

ひばり

先週の連休中は暖かかったのに、ここ数日はまた寒いですね。
そんな雨の日曜に早よからお出かけ。髪を切りに行って(また短くなっちったよ!寒いのに!)、その後『ひばり』観劇。松たか子ちゃん主演、蜷川幸雄演出。ストレートプレイの舞台。凄い良かった!
(※以下、ネタバレ含みますのでご注意。2/23UP)

先日、『朧』記事目当てで繰っていた演劇雑誌に、蜷川さんのインタビューも載ってたので立ち読み。ジャン・アヌイ氏のホンをそのままやると書いてあったのだけど、ホントにそうだったらしい。ググって(あぁ…憧れてたこの表現♪笑)読んだブログ参照。この方、ジャンヌ誕生の歴史背景も分かりやすく書いてらっしゃるので、勝手にリンク貼らせて頂こう♪ありがとうございます。
舞台は異端審問裁判の場で、ジャンヌにその半生を再現させる、というもの。ステージ上にさらに四角いステージ(これでロープ張ってあったらリングだね)、周りには審問の進行役となる司教とイギリス貴族を始め、ジャンヌの一生(と書くと悲しい…)に関わる人物達が出番を待っている、という設定。審問/裁判の場なので、基本的に言葉のやりとりなのだが(それも膨大な!)、過去と現在が四角い舞台で交錯するこの構成のお陰で飽きさせないし、非常に効果的なんじゃないかと思えた(偉そう?笑)。実際には交わることのなかったはずの人物達も、そこで一緒にジャンヌの物語を聞いている、という興味深さ。開演が、客電落とさずに境目なく始まって、奥から静かに登場した松たか子ちゃん始め、出演者がこともなげに客席通路から三々五々舞台上へ集まって来るので、少し遅れて来た客(これまた多いんだ!)と混じって不思議な感覚になる。中にはスタッフらしい(本当に裏方さん?)黒Tシャツ着てる方も通り(裏方は基本黒装束だから)、もちろんそのまま舞台に上がり、出演者の身支度を手伝ったり。観客も傍聴者/ジャンヌの半生再現を目の当たりにする当事者、という少しありきたりな狙いだと思われるが、功を奏してたんじゃないかな。少なくとも私には(ニヤリ)。
語られる内容はこれまた異端審問なので、神と人、信仰とは?奇跡とは?自由意思とは?、といったキリスト教おろか無宗教の一般的現代日本人には到底理解し難い根本を含んでいるのだが、その奥に普遍的主題が見え隠れして、非常に楽しめた。"楽しむ"といっては語弊があるかな、"興味深かった"。あまりに「詰まった」言葉に休憩時間には頭痛くなりそうだったけど(笑)。
さて松たか子ちゃん。素晴らしかった。もうジャンヌがピッタリで。髪をバッサリ切ったのか、正に少年のよう。少女らしい純真と傲慢、凛として清々しくありながら自分をシノンへ運ばせるために発揮する狡賢さも併せ持ち(これこそ少女だ)そこがまた可愛らしい。実はたか子ちゃん本人に対しては微妙…なとこもあるんだけど(えぇっ?!そうなの?!)、役者/女優としては凄いね。注目すべき素晴らしい若手女優だと思う。こんなベテラン芸達者役者の中に居ても引けを取らない。というか輝いてる位だ。これからも注目していきたいな。
で、ベテラン芸達者、と言っても、他の出演役者さん達は益岡徹さんと山崎一さんくらいしか分からないんだけど。でも皆さん、素晴らしい演技だったので芸達者やなぁ、と。司教役の益岡さんは、普段時代劇ドラマとかで木訥としたイメージがあって今回もちょっと司教としてはパンチが弱いかなと思ったが、ジャンヌが持つ傲慢さを根気強く、優しく、諭していくのにはピッタリだった。橋本さとしさんの(この方か!と後で思う)イギリス青年貴族も享楽的で目的主義っぽい世俗さと甘さがあって、素敵だなぁ、と。審問官の壤晴彦さんは迫力。通る美しい声、という訳じゃないのに圧力を感じるいい声。しかし、審問官はある意味可哀想な人だ。「人間」であることを放棄して神の庇護(キリスト教会)にすがれ、「人間」であることを自分の中に見つけたら自分を異端審問にかける、とまで言わせしめる。無宗教の私から見たら「可哀想」、キリスト教会から見たら「幸せ」なのかな。いや、試練であるよな、やっぱり。
王太子シャルルの山崎一さん、愚鈍だと思わせておいて結構策略家、屈折した感じを明るく演じてて、味があるなぁ。そう言えば、ジャンヌに追いかけられて(だったっけ?)に客席通路に降りたとき、カツラが取れるのは、あれは演出なの?感想探ってたらいつもやってるみたいで....ハプニングに思わせた演出なのか?何の狙い?
磯部勉さん(検事役?)、どこかで聞いたことがある声…声優もよくされてるのよね?いい声です。俗物っぽさが最高。俗人と言えば、ヴォークールールの司令官ボードリクールとラ・イール!(今、名前が分からなくてカンニングしました。)あのキャラクターは凄い好きだなぁ。役者さんはどなただろう?それとジャンヌのお母さん役をやった方も、いかにも田舎のお母さんって感じですごく好感持ちました。結局、私って俗物が好きなんですね(笑)。
まだまだ宗教観についてとか、自分語りしたいとこもありますが、とりあえず。(って十分長いよ!)