オレ節生活

気の向くまま、思いつくまま

『朧の森に棲む鬼』2回目(2007.1.8 夜)

観てきました、お誕生日バージョン(?)を!凄ーーく良かったです!!初日(2日)より進化したのか、私の捉えように腹が据わったのか、2階席という俯瞰出来てしかもそれほど遠くもなく花道良く見える席だったからか、定かではありませんがかなりグッときました。切なかったかな。極悪とか、そう見えないとか、それってどうなの、なんて事は些細な事のように感じました。PA(拡声装置/PublicAddressの略です)も良くなっていて、初日に何を言ってるか聞き取れずかなりなストレスになった最後の台詞もちゃんと通ってて。いやー技術って素晴らしいな、と改めて思いました。むやみな衣装チェンジも気にならなくて。なんででしょ?舞台って生き物なんだな〜〜。でも、出来れば初日からこの状態で観たいとは思うけど(笑)。
では、感想というか、雑感などを。
思い切りネタバレしてます。思い切り、自分ワールドで語ってます。恐縮……(汗)。やっぱり未見の方は飛ばして下さった方がよいかと。初日と8日夜公演を比較・ゴチャ混ぜしつつ。
いつとも知れぬ時代、どことも知れぬ(島)国。そこでも戦火は絶えはしない。
死人の山を漁り、口先で金や田畑や女まで騙し取り、生き長らえているライ(染丈)。と、ライを慕う幼馴染みの弟分・キンタ(阿部サダヲくん)。迷い込んだ朧の森で、ふいに現れたオボロたちから命(自分が自分を殺すとき)と引き替えに、王座を約束されるライ。「おもしれぇ」。その舌のように動く剣と予言を与えられたライは……

オボロ達のお面が、見ようによっては可笑しいんだけど(ちと日清UFO…違った。カップヌードルだ!の宇宙人を連想するんだな…そんなの私だけ?)、しかし髑髏と水に煙る『朧の森に棲む鬼』のタイトルバックはやっぱカッコいい!新感線のタイトルの出し方はいつも痺れるねぇ。今回、2階席から見たらゾクゾクしてしまった。
初っぱなの染ちゃんはボロをまとって居てもキレイなんだよな〜〜こんなキレイでいいの?と逆に心配に(なぜ?笑)。どんな時も美しさは隠せないのね。贔屓目、爆!!(笑)。茶髪の(でも初日に観たときはもっと茶色かったように思ったんだけど。席のせい?)天然パーマっぽい鬘で…『黄金の日日』の幸四郎パパそっくりなんですけど!!あのアイラインなんて、本当に幸四郎パパだ。最近とみに「似てるなぁ」と思うことが増えました。親子よのぅ。何を今さら?
オボロ達とライの掛け合いソングは、大事なことを歌ってるんだけど.....初日はろくに聞き取れず。いつものように歌詞が書かれたチラシを貰いますが、真っ白な状態で観たい私としては始まる前にそーゆーものに目を通したりしませんし。観た後もしばらく経ってからでないと確認したりしないし。だからPAさん、何とかしてよ!(最期の台詞もね!)と思っていたら、8日夜には凄く改善されていて!なんだ〜やれば出来るじゃん?ま、観た席にも関係しますけど。
三人のオボロたち(そのチラシに因ると、オボロヒ・オボロミ・オボロツという名前がついていた)、高田聖子姐の白塗り化粧が…少し違和感。次に出てくるまでにお化粧し直せないのかな?それとも何か意味があるのかしら?(深読みしすぎ?)ここ、振付は松本錦升師匠なのですね……ごめんなさい、初日に観たときは別になーんとも思わなかったです。ひょぇ〜。ファンにあるまじき?染ちゃんライを見つめてたからさ!←言い訳。

で、ライという人物なのですが。
そんなん、観た方がそれぞれ感じればいいことなんですけど〜......でも、初見のときにどーも私の中で定まらない感じが残りまして。「リチャード三世」と「酒呑童子」をベースにしたお話、というのは最初から散々聞いていた事なのに、私的に「リチャード三世」への傾倒が強すぎたのかも。「酒呑童子」の背景やら諸説やらを知らないせいもあり...。実は最近までシェイクスピアってまともに読んだことがなく、『メタルマクベス』観劇前に四大悲劇辺りを中心に一気に読んだので印象が強かったんでしょう。(や、「リチャード三世」は"四大悲劇"ではないですけどね。)パンフで松岡和子女史も書かれてましたが、冒頭の独白で絡め取られてしまう。醜悪だけど魅力的。世の中と自分を憎んでいて、世の中を握りつぶす為に王座を狙い、その武器は言葉と計略。なのでちょっと想像していたのと違かったか、と思い。どちらかと言うと、人の弱さとか切なさとか感じてしまい……そういう狙いなの?それって「とことん悪役」なのかしらん?と思ったり。確かに後半は「うわー、悪人だぁ〜!サイテー」感は増量したのですが、キンタにとどめを刺さなかった件が、非常にぬる甘に思えたし。行為は悪徳で、美しくて色気も十分だけど、えーと、でも行き当たりばったり?その場しのぎの舌先?これは極悪人なの?それとも小悪党?そんな事でもやもやしてました。でもまー、眉ナシのメイクと、最期の血みどろ姿だけでも十分ゾクッと。来ましたけど♪

そんなちとモヤッとしたまま、再見。(いやいや、他人様の感想ブログを渡り歩いたりして、自分なりの解釈を求めましたよ)
これが……っ、アータ!!!(誰よ?)
いやー、舞台はナマモノ。進化していくんだなぁ、と実感しました!何もかもがスコンと落ちて(これは"自分なりの解釈を求めた"成果でもありましょうが。)、何にモヤッとしてたんだろ?私。とまで思ったぐらい。ライ@染ちゃんは、最初はギラギラと欲望に忠実なちっちゃな悪党だけど、嘘を重ねる毎にもっと大きな悪に染まっていく。重ねる嘘は快感と同時に破綻ももたらす。前半の、根回しと誘惑大作戦でのし上がっていく非道さと、そのあとのヒリヒリとした破綻への課程、うわ〜なんだよ、これ、面白いじゃん!!!
……何を今さら(笑)?いやぁ、素直にそう思ってしまいました。ゾクリとしたり、辛くなったり。初見でキンタ@サダヲくんや、シキブ@聖子姐さんなどはもう出来上がってる感じでしたが、皆それぞれ造形を深めてきたんでしょうね〜。マダレ@古田さんも発する存在感が大きくなってたようで(身体も?)。自分の場じゃない時の気の抜けようとは段違い!もうちょっと見せ場があると嬉しいんだけどなぁ〜。圧巻はやっぱりラストですかな?最終的に人間の業って生への執着かな?とか思ったり。とは言え、詰めが「まだまだ」な感も。もっと進化していく/進化可能だからこその新感線。今後の観劇がさらに楽しみになってきました!ちょっと脚本的にうーむ、と思うところがないでもないが、、、やっぱ書き下ろしって一度で完璧にするには難しいのでしょう。不足な部分は演出&役者に期待したい。肉体的にも(大量の水を浴びるし)精神的にも大変そうだけど、是非にともこの後も頑張っていただきたい。…「頑張る」っちゅー言葉は嫌いなんだけどねぇ。「ほどほどに」とも言えないし。(「ほどほどに悪役やる染ちゃん」ってどうなの?あり得ん?!)

うぉ〜!もの凄く独り語りしてしまいました!(だからまとめられないって……汗。)ざっと、他の印象をば。
キンタ@サダヲくん、もーー身体のキレというか、動きが速いというか、よく動く!!このシリアス舞台でよく笑わせてくれて、しかもライとの間の師弟コンビぶりが微笑ましい。ほのぼの感さえ漂う……途中までは。ひぇー、このキンタを裏切るライ@染ちゃん、悪魔!!そんな悪魔な染ちゃんがステキ(ポ)。←お前も鬼やな(笑)!後半のキンタの立ち回りがカッチョえぇ。しかも雨(水)で濡れてるところを飛ぶように駆け回る。ある意味怖い。
シュテン@真木よう子ちゃん、身体も小柄だが、顔がちっちぇぇ!舞台では不利な体型だね。それをカバーするには存在感だが、あのパワフルメンバーの中に居てはなかなか難しそう。でも、私、結構好きなのよね。小動物みたいなのに、声が低くくてイイ。そして「血人形」の件は凄く好きなのだ。出来れば、シュテンの最期の呪いが本当で、ライを殺していたんだと思いたい。でもあれは、他人の嘘に怯むライの破綻を示してるんだろうけど……。ライ@染ちゃんとの一騎打ちは、ガンバレ!ここだけでももっともっと迫力欲しい。
ツナ@秋山菜津子さん、ちょーっとねぇ『タンゴ・冬の終わりに』を彷彿させたんだけど、さすがに再見の時はもっと激しい女に見えた。独白が上手いね。それは『タンゴ…』でも立証済みだけど。すべてライの仕組んだことだと腑に落ち、ライが去ると憎しみを爆発させるところ、ちょうど花道が真っ直ぐ視界の中に入ってたので、ツナの表情を受け止めてしまった!凄かった、あの迫力は。しかし「ツナ」と言われるとどーしても「シーチキン(ツナ缶)」が頭に浮かぶ私。いやいや申し訳ない。「(ヤスマサの)妻のツナ」も「ツナのツナ」と聞こえるし。ツナの中のツナ…最上級ですね。(そーじゃない!)
マダレ@古田さん、ラジョウでキンタと殺人者@前田さん(え、今回は違う?)が喧嘩をしてるとき、エマさん相手にセクハラし放題のエロオヤジですな。しかし、一旦スポットライトの下に入れば、その存在感たるや、カッチョえぇですなぁ。オヤジが華をもつ瞬間。顔芸も素晴らしいです(笑)!ライを討つことの大義名分を吐くツナに、「言葉にすると、アイツと同じ土俵の上に乗っちまう気がしてな」。カッチョえぇ!真理です。染ちゃんとの一対一の立ち回り、観たかったねぇ。
シキブ@聖子姐さん、可愛いだけの女じゃないのよ、怖さと哀れさを持つ人間のメス。いやぁ凄い女優さんだぁ!「常に戦闘態勢!」の無駄な勢いな(笑)とこから、「ごめんねぇ」と言いつつオオキミに毒を呑ませる場面まで、なんて振り幅の広い役者さんなんでしょ!改めて新感線の看板女優を背負ってるだけある方なのだな、と思いました。初見の時、「爪楊枝」の説明を目の前で聞けて嬉しかったなぁ。「知ってる?」と聞かれた時に「知らなぁい」と応えれば良かった…っちゅーか、そんなん客席に期待されてないから(笑)!
イチノオオキミ@田山涼成さん、なんともほんわかしてて、場が和みます。この舞台に関して言えば反対に「締まる」と言った方がいいのかな?田山さんのオオキミでなければこんなに緩急がつかなかったかも?そして間抜けな帝だと思っていたのだが、さすがに分かっていたのだよね。でも、国を治める者としては、失格でしょう。その辺がヤスマサをして「腐ってる」と言わしめたエイアン国なのか?
サダミツ@小須田康人さん、ウラベ@粟根さん、アラドウジ@川原さん、もうちょっと活躍させてあげたかったけど…あ、小須田さんは何気にオイシイ?かな(笑)。河野まさと・サンボちゃんと染ちゃんの絡みシーンがちょっと好き。ライ…やっぱりちっちぇ人間なんだ!というか、やられたらやり返す、は悪の基本でしょうか(笑)?シキブ@聖子姐と磯野慎吾さんの絡みも好きだな。オーエ国シュテン党の面々はイマイチ…弱そうですが、本当に戦い慣れた山の民?なのか??再見(8日夜)の時は、仁さんが自由演技を始めておりました。い、いいのか?あの場面で…染ちゃん、笑うなよ!

非常に長くなりましたが.....もう収拾つかないので、この辺で打ち切ろう。誰か付き合ってくれてるのだろうか(笑)?いいのだ、自分の為に書いてるのだから。あぁ、次回がとても楽しみだ!