オレ節生活

気の向くまま、思いつくまま

タンゴ・冬の終わりに

よくまぁ堤さんは、TVドラマも平行しつつ(映画もあったよね)こんな舞台が出来るものだ!ま、舞台が100%で映像は20%くらいかもしれないけど。え、足すと120%?違ーう、足し算ではなーい!でも力の抜けきった堤さんも好きなんだけど♪
昨年の、初めての蜷川芝居『幻に心もそぞろ狂おしの我ら将門』(長っ)も、清水邦夫氏作、堤真一さん始め、段田安則さん、高橋洋くん出演。こりゃシリーズとして観とかにゃアカンかな〜と(思わんでもえぇっちゅーに・笑)、これまた去年『…将門』一緒に観た友を誘って行って来ました。内容も、やはり6〜70年代の全共闘の匂いを感じる演出に、狂気に捕らわれた男の話。「将門」に全共闘?と思うかもだが、効果音にところどころ学生運動を思わせる演説や絶叫の声、ヘリコプターの騒音が入ったりしたのだ。舞台セットも階段多用が似てる。『…将門』ほど急な階段じゃないけど。寂れた映画館の客席っていう造りだし。階段セットだと奥まで見えていいよね、ってそんな意図じゃないか(笑)。比べなくてもいいんだけど、どうしても比べてしまう『…将門』。「将門」の時は、実は堤さん発するカリスマ性が思ったより感じられなくて(一瞬正気に戻るシーンで)、それが残念だった。まくし立てる言葉に、段々惑わされていくような感覚に陥ったけど。あの掴みどころのなさは堤さんならでは、だなぁ。
さてそれで『タンゴ…』ですが、、、いゃぁこれは堤さんの真骨頂ですな!!また掴みどころがないんだけど、それは狂気に落ちていくせい。現実に引き戻そうとする人の手をすり抜けて。大体、役者なんてエキセントリックか狂者の役が大好き、それが出来て一人前、それを見事演じるのを夢見てない?とゆー、何だか古ぼけた先入観を密かに持つ私、狂気の男を演じる堤さんを賞賛するのは、チト信条に反する(?笑)のですが………いいーんですよ!これが。舞台の人だなーと思いました。堤真一ファンなら観といて損はないと思うな。
そして妻役の秋山菜津子さんがっ.....また、いいーんです!哀しくって切なくって、節度が利いていて。この人がいなければ、清村盛(堤さんの役名)という人物・狂気も映えなかったのでは?秋山さん、『朧の森に棲む鬼』にも出演よね。うーん、期待です!
段田さんは少々コミカルな日陰の中年男性好演。田舎の遣り手オバチャン大好演は新橋耐子さん。文学座のベテランさんなのね?なるほど納得。
狂気の中にしか現れない祭文(?)を歌う怪しげ行商オッチャン二人組・塚本幸男さん、岡田正さん、秀逸!鞠谷友子さんっていくつよ?いつまで経っても失わない少女性。恐ろしい…。高橋洋くんは…なんか上滑りしてる明るさがあるんだよね。一人だけ異次元、みたいに。それが役作りなのかどうか、私には微妙。ただ、兄弟でじゃれあうところが自然で好きだな。兄ちゃんはどうであれ(笑)。
さて常盤貴子ちゃん。実は生で観るのをちょっと楽しみにしてた。遠目の席からだったけど綺麗!肌ツヤツヤ。でも……頑張ってるんでしょうが、まだまだ映像の人なのね。ありがちなのが、訴えかけることは叫ぶことじゃないんだよな。タンゴも頑張って踊ってたね。ベテランに揉まれて下さい。あんまりこなれ過ぎちゃうとつまらないかもだけど(オイオイ、我が儘)。
最初と最後に、映画館に集まった若者(80人とか100人とか聞いたけど本当は何人?)が、客席を向いて(つまり映画を観て)一喜一憂する演出があるのだが、あれには度肝抜かれた。舞台に近い席だったらもっと吃驚だったな。昔、映画館には人々の色んな想いが充満してたんだな。それが清村盛を狂わせたか?....ところで役名に違和感あるね。妻の名なぞ「ぎん」…双子のお婆ちゃんを想像(笑)。
シンボリックに扱われるクジャク。あれはなかなか怖いよ。小さい頃、よく行った自然公園で羽根を取ろうと追いかけた経験のある私。クジャクにとっては人間の方が怖かったろうな…すまん、クジャク
ありゃ、感想長くなっちゃったね。