オレ節生活

気の向くまま、思いつくまま

『新橋演舞場・五月大歌舞伎』昼の部(2007.5.12)

いやもう、楽しくて、楽しくて。歌舞伎を観て、単純にこんなに楽しいと思ったのは久しぶりなような気がしました。(っちゅーか2,3月は自粛してたので歌舞伎自体にも少しご無沙汰だったしね。)素晴らしいね、座頭・吉右衛門さん!

『鳴神』
まぁ線が細いのではないかとか、荒事はどうなの…とか、色々不安要素もあったようですが(って他人事だなぁ。私としては先に観劇した友の評によって払拭…というよりそれに勝る期待感だったか?)染丈の鳴神、いやいやいや!!良かったです。特に騙されたと知った後の暴れようと飛び六方!怒り爆発!!では本当に弟子どもをぶん回してるように見え、迫力!(大抵、こういう時は「形」ばかりのものに見えるんだけど)、いちいち見得がキレイだし<え、贔屓目(笑)?。うぉーーー!!なんじゃこりゃー?!スゲースゲー!!と大興奮。花道に立った時はどーしようかと思いました(どーかすんのか?・笑)ああ、もう、花道立たせたらニッポンイチだよぉ!!<え、贔屓目ですか(笑)?ただ、3列目の花横席だったので……あまりに早く飛んで行ってしまい……いやん、戻って来てぇ〜〜(涙)。あぁこればっかりはもう少々後列席が良かったなー、なんて思いました。贅沢?正直に言うと、今までは本人がやりたがっているから…みたいなニュアンスでしたが、マジに早く勧進帳」弁慶観たいっすよ、と思いました。
最初の登場ではやっぱり大きさがないなー、と感じます。こりゃもう万人がそう思うでしょう。仕方ない。声の迫力もそうないかな。が、雲の絶間姫とのやりとりになると俄然活きてくる。この人って相手とのやりとり・関わり合いが上手いんだな〜とふと思いました(こんなところで!)。
今回の『鳴神』はよく上演される型ではないらしく、「あれ?鳴神ってこんな印象だったっけ。もっとエロエロしてたような…」と思ったのはその為だったよう。<オイオイ。何しろ三津五郎さんがやったのを観ただけで(2005年1月@歌舞伎座)、記憶もそうハッキリしてなくて。が、このあっさりめが青年上人・鳴神にはぴったりマッチだと思うのでした。っつーか、この鳴神だからあっさり?もうね、ウブなんすよ鳴神(笑)。何せ龍神を閉じこめてしまうくらいだから、神通力強い・幼い頃から仏道一筋のエリート上人なんでしょね、でも世間のことは何も知らない。男女の睦み合い(笑)の様子を聞いて興奮しちゃう少年ですよ、ナハハ。ま、だからこそ神通力が強いのでしょう。エリート青年なので、生臭坊主な一番二番弟子(由次郎&吉之助コンビ)にもちょっとなめられがちという、なんかそんな図まで想像。いや、楽しい。歌舞伎を見てあれこれ想像するなんて、こんな楽しいことはないぞ。そりゃこの鳴神はどうなの?と思う方もいらっしゃるでしょうが、敢えて言います、好きだなぁ鳴神青年(笑)。
雲の絶間姫も、私が勝手に芝雀さんイメージをダブらせているせいか、涼やかな色気でございます。これがまたウブ青年に程良くて。あんまり色香が濃すぎるとイヤぁな感じになってしまいますが(エロ絶間姫がウブ青年を堕とす図、というのも官能小説張りで楽しいですが……オイオイ(笑)。)、2人のやりとりが可愛らしくもあり、微笑ましくも感じ、且つ絶間姫の冷静さ・策略だということ忘れさせない。いざ祝言の段になって、強腰になる絶間姫もお姉さんぽくて素敵。芝雀さんもやるじゃん!って。<え、違う?役柄?
贔屓目爆裂でヒッジョーに楽しい幕でした♪
※後日追記:<妄想型>てぬぐいさんの感想、「鳴神君疾風怒濤」ご覧あれ!1粒で二度美味しいとはこのことなり。

鬼平犯科帳−大川の隠居』
うわぁーー、鬼平だよ、鬼平!!!や、吉右衛門さんがやってるんだから当たり前なんですけどね、あの「鬼平」の世界がそのまま舞台に乗っていて感動。時代劇好きの友と一緒に観劇だったのですが、目の前に現れた長谷川平蔵に「お頭ぁ……」(笑)と感激しきり。ここは、「播磨屋!」じゃなくて「お頭!」との掛け声を所望しておりますが、いかがでしょう?大向こう様方。私からも是非ご検討いただきたく存じます(笑)。
実際に観るまでは、一体どんな歌舞伎版になるんだろう?と不安と期待が入り交じってましたが、いやー、良かったッス。藤の花、杜若、つばめ、牡丹に初鰹。まさに今の季節に溢れた設定が嬉しく、そしてまた江戸の町もこうして日々季節を身近に感じて暮らしていたんだろうなぁ、とも思われて郷愁のようなものを感じたり。うーん、憎いね、吉右衛門さん!鬼平も、TV版より色っぽく、カッチョ良く見えたのは、やっぱり歌舞伎役者の生の威力でしょうかね(笑)?TVだと重鎮の雰囲気がありますけどね、歌舞伎版はまだまだイケる(何がだよ?笑)感じでした。"女房殿"@福助さんともイチャイチャ(笑)してたし。
筋は、原作が捕り物の話ではないのですが(私としてはちょっと残念だけど…今後に期待。)、人情ものとしてちゃんと出来上がっておりました。秀逸だなぁと思ったのは友五郎@歌六さん。去年の「夏祭り」でも吉右衛門さんの向こうを張ってて凄いなぁ思いましたが、今年もやられましたね。もうキッチー演舞場には歌昇さんともども、欠かせない役者さんなのでは?贅沢な(勿体ない?)ちょっとだけ登場の、岸井左馬之助@富十郎さん、佐嶋@段四郎さん、酒井@錦之助さんは友情出演・特別出演のようなニュアンスか?鬼平ファンが大勢観にいらしてると思われるので、サービスとも、次回作への布石とも考えられますが。その中でも"うさ忠"木村忠吾@松江さんは、TV版の尾美としのり氏を彷彿とさせる造形で楽しまさせていただきました(笑)。歌舞伎版鬼平シリーズも続くようなら(そうなのか?)、次回は是非、捕り物スタイルにて「火付盗賊改方長谷川平蔵である!」と見得を切って、大立ち回りを披露していただければな〜と思いますが(同行の友人の請け売りだけど).....え、無理言うなって(笑)?

『釣女』
だーーはっはっは!いや、再三ですが、楽しい!2005年のこんぴら歌舞伎で拝見した吉右衛門さんの醜女がまた見られる!というだけで笑いがこみ上げてきたもんですが……バージョンアップしてましたーー!!<醜女のバージョンアップって(笑)?太郎冠者@歌昇さんのイヤァ〜そうな表情もバージョンアップ(笑)。やっぱり歌舞伎座サイズにすると表情も大きくしなければならぬのかな?すっごい嫌そうなんだもん…(笑)。見方によってはなかなか可愛いとも思うけど@醜女…でも嫌かなぁ(笑)。こんぴらで拝見した時は被衣を被って出てきた途端、「デカッ!!」と思ったけど、今回は小さーーく造っておりましたねぇ。これは劇場サイズの錯覚によるものだけじゃないと思うわけで。さすがだね、吉右衛門さん。大名某は錦之助さん、麗しいわぁ。上蟖の芝雀さんと、美しカップル。絵になるわー、絵になるわー。錦之助さん、なんか先月の襲名公演と違って大変素敵なのは何のせい?醜女@吉右衛門さんに「錦ちゃーん!」「素敵ぃー!」と言われてるし(笑)。拍手、拍手〜〜!出来れば、ちょっと笑顔を見せてくれると嬉しいんですがね、錦ちゃん!<え、ダメ?!
大変楽しい楽しい3幕でした。